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2013年1月14日

緩和ケアの勉強に・・・

緩和ケアの勉強に行ってきました。
英国ニュー・カッスルから、セントオズワルズ・ホスピスの緩和ケア・コンサルタントの先生とホスピス理事長が招かれて、14日の月曜に コンベンション・センターでの会がありましたので、会場に足を運んだ方もおられるかもしれませんが、その前日の13日に、主催された かとう内科の診療所を会場として、医療福祉関係者対象の会があったのでした。

非がん疾患の緩和ケアが ひとつのテーマでした。
がんなどの悪性疾患と 非がん疾患では、療養中の安定している時期は大差ないのですが、ひとたび終末期といわれる時期に入ってくると、緩和ケア(あるいは在宅医療)という観点でみるとやはり後者の方が難しいことが多いのです。予後の予測も、症状コントロールも。

会場のデイサービスセンターは50人あまりの聴衆でいっぱい。
講演では、非がん疾患の終末期の症状コントロールについての、薬物だけにとどまらない、ケアの方法なども紹介され、とても参考になりました。
ホスピスや在宅で、緩和ケアを実践している Dr.Andrew Hughes の言葉は さすがに重みがあります。
講演の最後に、私が 疑問に思ったこと、すなわち~非がん疾患で在宅療養している患者の症状コントロールをうまく行うためにはどのような状態にあるのか、正確な病状評価が必要と思うのだが、えてして寝たきりであったりとか病院に連れて行くこと自体が難しい場合が多い。
先生のところでは病状評価はどのようにしているのか?~
という質問をしてみたところ、・病歴の詳細な聴取やカルテの精読(新しく診る患者の場合2日かけることもある)
・検査としては、血液検査ぐらいしかできない(CTやらいろんな画像検査は当然できない)
つまり、画像などの検査に頼ってしまうことなく、詳細な病歴聴取・情報収集とできる範囲での検査で診断しているようです。
そして、次のようにも言われました。
・患者がひとたび入院すると、病院の専門医はあれもこれもとたくさんの検査を行う。
しかし その結果について患者に説明されることはあまりない。
・病院の専門医は 患者の疾患が治る可能性があって治療を続けている間はよいが、 できる治療がもはや何もなくなると 急速に(患者に対する?)興味を失ってしまう。
いったいどこの国の話なのか・・・(笑)
・・・洋の東西問わず、似たような話もあるものですね。
訪問看護ステーションの看護師さんからの、~患者さんへの病状や予後の説明は
病院主治医・ホスピス医・一般医(在宅医)・看護師など中で、誰がすべきでしょうか~
という質問には、次のように言われました。
・誰が説明してもかまわない、そのときその時で、必要なときに、すべき人がすればよい、・大事なのは 誰が説明するか、よりも、誰が患者の声に耳を傾けてしっかり聞いてあげられるか、であると。
うーん・・・やっぱり本質は一緒ですね。
おもしろいエピソードも。
幼稚園ぐらいの子供たちに医者の仕事の話をする機会があったとき、往診カバンを持って行って、子供たちに
「この中には 医者の仕事をする上で一番大事な道具が入っているんだよ」と前置きして、興味津々の子供たちの目の前でカバンをあけてあるものを取り出した。
・・・・そしてそれは・・・・
仮装に使うようなオモチャの 大きな”耳”。  
それを自分の耳につけて、「これで患者のいうことをよーく聞くんだ・・・」と語ったのだそうです。
なんだか、映画の「パッチ・アダムス」を彷彿するような話ですね。

講演会の後に催された懇親会で、Dr.Hughesとしばらくお話しすることができました。
講演の 症状コントロールの話の中で
唾液分泌過剰のことを言われていたので、我々のところでは、口の中にたまった唾液を
低圧持続で吸引できるポンプを使っている患者さんもありますよ~ 
熱帯魚の水槽用のポンプとペットボトルを応用して作られているんですよ~ といって、以前撮った、それを使っている患者さんの写真をスマホの中から探して見せつつ紹介したところ、それは見たことがない!といって興味を示されたので、それじゃあ後で情報を送りましょう、ということになりました。
2日間にわたる会の準備も大変だったことと思います。
加藤先生はじめ かとう内科のスタッフの皆様、お疲れ様でした。        ももたろ