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2016年4月9日

患者を中心とした周囲のQOL向上

ももたろう往診クリニックでは、岡山大学医学部から実習生を受け入れています。
実習を終えた学生さんの感想をご紹介します。

岡山大学医学部6回生 【実習期間】2016年4月 2週間

ももたろう往診クリニックでの実習では、主にターミナルケアの領域にあたる方々を見させていただきました。実習の前から自身の看取りの経験から在宅医療やターミナルケア、緩和ケアなどの領域には関心を持っていたのですが、大学での実習など病院内ではなかなか見ることがなくイメージや自信が持てていない段階でした。
 二週間実習をさせていただき、興味を持っている分野で活躍されている素晴らしい医師やチームが各地にあること、また訪問診療を必要としている方々の切実な状況や環境、それらを乗り切ったご家族の安堵や感謝を身をもって経験することで、この分野の重要性や需要を知ることができました。
 今回の実習で学んだことは、病院と自宅や施設では患者様も家族も見せる表情や言動が違うということでした。はっきりと意見を言える方もいますが多くの方は遠慮したり主張できなかったりするので、自宅管理の必要な治療の説明だけ受けても理解できていなかったりすると、訪問医療や訪問看護がなければ適切な治療が行われないことになってしまいます。また「入院は嫌」「退院する」と言い張る人の気持ちを在宅で聞いてみると、不安を共有してくれない医療者への不満や、残された時間を好きに生きたいといった各々の考え方があり、それを尊重する必要性にも改めて気づきました。
 医療者の立場としては、末期の患者様に輸液をむやみにして浮腫や痰による苦痛を味わわせなくても苦痛としんどさのケアをきっちりすれば自然と体内の水分などは排泄されてきれいな姿で眠るように亡くなっていくことを実感しました。また看取りを念頭に置いたケアに始終せず、その人が現段階でできることを最大限させてあげようとする努力がその人を中心とした周囲のQOL向上につながることも納得できました。
 今後の自身の課題として、医師の医療レベルによって患者さんのQOLが大きく左右されうるということを念頭に置いて勉強していきたいと思います。胃瘻交換や創傷の処置などの外科的手技ができなければその度に外来に行ってもらわなければならず患者様の家にいたいという希望に沿えず、通院のしんどさも増すことになってしまいます。広く勉強し、その中で強みを持つことがこの分野では必要なのだと思いました。
 ももたろう往診クリニックの皆様には2週間大変お世話になりました。先生方や看護師の方々、事務の方々の患者様に対する熱意や優しさが訪問診療中や日常会話、患者様やご家族の反応を見て伝わってきました。多くの制度や診療内容がある中で多くの患者様をその人に応じて的確に振り分けてサポートしている体制や、他職種の人との連携なども垣間見え今まで煩雑に思えていた医療制度についてもしっかり学ばなければと思いなおしました。今後の自分の目標について考えるうえで大変貴重な経験をさせていただきました。ありがとうございました。