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2014年1月5日

「一病息災」を目指して

12月から山陽新聞夕刊にコラム「一日一題」を毎週木曜日に担当しています。
字数制限があるのですが、短い文章で言いたいことを伝えるのが非常に難しくて
なかなか苦労しています。
夕刊を購読している人は私の知る限りほとんどいないだろうから
大丈夫かなと(何が・・・?って?!)思っていたのですが、患者さんの御家族から 読みましたよ~ とか言われることがあったりして
なかなか気が抜けません。
編集委員さんのOKもあったので、このブログでも記事を少しずつ紹介します。

病院とは、診断と治療に特化した非日常の空間である。
診断や治療を受けることが入院の当初の目的であっても、入院した以上はやはり退院して「家」に帰ることが目標になる。手術した患者さんが回復して元気で帰ってゆく退院の日の嬉しそうな姿をみることが外科医としての喜びであったのだが、がん専門病院に勤務して、治らない病ゆえに最期まで非日常の世界から出られない人達を知り、その望みは一様に「ありふれた日常」に戻ることであると気付いた。自宅に医療のサポートがあれば療養の場として病院でなく「家」を選べる。症状が重くても治療できることがなくても、やっぱり家がいいと願う患者さんに自宅で過ごすという選択肢を持ってもらいたい。その思いから1年間の研修を経て2010年に在宅医療に特化した診療所を開設した。
外来診療は全く行わず、通院が困難な状態で在宅医療を必要とする患者さんだけを対象として、「出前診療」の如く朝から訪問診療に出かけている。脳卒中後遺症の麻痺や老衰で歩けない高齢者から末期癌まで病気の種類や年齢は様々。車に必要な道具器材を積みこんで朝から看護師と一緒に患家に赴く。病気の診断や急性期の治療は設備の整った病院で行ったほうがよいが、ひとたび状態が安定すれば病院での医療と連携しながら「一病息災」を目指して在宅医療の出番である。