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2010年6月26日

毒がはいっとる

今週、90代半ばの女性患者さんの家に初診に行ってきました。
結構遠いと思われた岡山市の南の外れ、隣の市との境あたりでしたが、道がすいていて25分くらいで着きました。はじめ話を聞いたとき「本人は病院へ行くと入院させられると思って受診を拒否している」という話だったのですが、よくよく聞くとそれだけでなくて、心不全と高血圧がありながらも、病院に行くたび吐いてしまうので(たぶん車酔いか)1年ほど前から家族の勧めも頑なに断り続けて受診しなくなったということでした。
家の中で歩こうとするのを見ていると、足腰が弱って介助がないと歩く足取りもおぼつかない様子です。8ヶ月ほど前に顔がパンパンにはれて足がむくんで食事を食べなくなり(たぶん心不全の悪化)そのとき病院に行ったのが受診した最後で、あとは家族だけが病院に行って、薬だけもらってきてこれまでなんとか凌いでいたということでした。通院が難しいことを病院の主治医にも相談したら、往診してもらえるようにと近くの開業医の先生に頼んでくれたらしいのですが、ことごとく断られてやむなく、「どうにもならなくなったら救急車で病院においで」と言ってくれていたそうです。いい先生ですね。認知症があって、デイサービスに行ったら デイで出される食べ物や飲み物に「毒がはいっとる!」といって触れて回って他の利用者が恐れてしまうということでデイの利用も断られ、自宅で娘さんがひとり介護されています。
本人が喋る言葉のつじつまが合わないのはまあまあよくあることなので、聞いてあげながら適当に話を合わせてあげます。やはりこういう家では訪問診療を喜ばれますね。採血してかえって、翌日に返ってきた結果を見たら・・・NT-ProBNPが6000超、血中ジゴキシン濃度が2.9 ng/ml(0.9-2.0)と高くなっていて、初診の翌々日に再訪問して心電図とったり薬の調節したりなど対処に追われました。
病院の主治医の先生にも情報提供書をお願いしました。通院したくても思うようにできない患者さんが、もうほんとにどうしようもなくて、そのまま家で過ごしていたという話でした。