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2016年4月16日

緩和支持医療の実習で

ももたろう往診クリニックでは、岡山大学医学部から実習生を受け入れています。
実習を終えた学生さんの感想をご紹介します。

岡山大学医学部6回生 【実習期間】2016年4月 5日間

私は選択臨床実習で大学病院の緩和支持医療科を選択し、その一環としてももたろう往診クリニックの訪問診療に参加しました。大学の担当教員から訪問診療の実習があることを聞くまでは、全ての期間を大学病院で過ごすものと考えていたので、この度の往診クリニックでの実習は、思いがけず在宅医療というものに初めて触れ、患者さんにとって医療がどうあるべきかを考える良いきっかけとなったように思います。
これまで私は1年間ほど大学病院で実習を行い、大きな病気に罹られた患者さんに対し、高度な医療が積極的に行われている現場を間近で見てきました。そして、医療では病気を治すことが大前提であって、それが患者さんにとって一番の利益につながるものだと考えていました。ただその一方で、回復の見込みもないまま人工呼吸器や透析で長期間管理されている患者さんを見た際に、この方は本当にここまでして生きたかったのだろうか、この様な治療を望んでいたのだろうかと、命を救うために仕方のないことであるとは分かっていても、少し違和感を抱くこともありました。
今回はその様な状況の中で在宅医療の実習を迎えた訳ですが、とても印象に残ったことがありました。それは患者やその家族、医療スタッフが病気を治そうとばかりするのではなく、病気は病気としてしっかりと受け止め、正面から向き合い、上手く付き合いながら楽しく生活しようとされていたこと、そして皆さんの表情が予想以上に朗らかで、いきいきとされていたことです。患者さんは必ずしも病気に対する積極的な治療を望んでいるとは限らない、また一病気は治せなくとも、住み慣れた自分の家で人間らしい生活を送れることが患者やその家族にとってどれだけ幸せなことであるかに気付くことができました。
 往診クリニックでの実習を終えた今では、病気ばかりではなく患者さんそのものをしっかりと診ることこそが医療のあるべき姿、そして原点であるように感じています。そして、まさにそれを実践できる在宅医療はとても興味深く、やりがいを感じられるものだとも思いました。機会があれば、また勉強してみたいと思います。
 一週間大変お世話になりました。ありがとうございました。