ももたろう往診クリニックでは、岡山大学医学部から実習生を受け入れています。
実習を終えた学生さんの感想をご紹介します。
岡山大学医学部6回生 【実習期間】2018年7月 2週間
二週間訪問診療と往診に同行させて頂きました。これまでほぼ病院内での実習だけだったので、患者さんの生活環境、家族関係、社会的な背景がわかる在宅医療が新鮮で、様々な背景を持った患者さんがいることを知ったのが最初の大きな学びでした。特に家から動けないような健康状態で身寄りもない独居の高齢者の方など、病院では出会うことのできない患者さんの存在を知り、在宅医療の必要性を強く感じました。
また朝、夕のカンファやケア会議、病院での退院カンファなどに参加させて頂いて、多くの医療職、介護職の方々で患者さんの退院から自宅での過ごし方、家族の介護負担などを細かく情報共有し、患者さんやその家族に寄り添ったサポート体制を作っていく姿勢を見て、学ぶところが大きかったです。
実習を通して一番印象的だったのは、最終日に訪問した重症患者さんでした。一か月前に病院で「いつどうなってもおかしくない」と宣告され、ご家族の強い希望で退院、在宅医療となった方で、自分で声を発することもできず、寝たきりの状態でしたが、診療の間中ずっとにこにこといい笑顔を見せてくださいました。ご家族の話では、病院にいた間は手足をバンドで拘束され手袋をはめられ、いつも怒った顔をしていたのに、自宅に帰ったらずっと笑顔で、子供や孫達が訪れるととても嬉しそうな安心した顔をしてくれるようになったそうです。ご家族は、たとえ寿命が一か月短くなったとしても、笑顔で過ごしてくれた方がずっといい、連れて帰ってよかった、とおっしゃっていました。この言葉を聞いて、在宅医療に求められるものはまさにこうした、寿命を延ばすためだけの医療ではなく、ご本人やご家族にとって価値のある時間を過ごすための支援なのだろうと思いました。こうした支援が実現するためには、在宅医療の存在はもちろんですが、病院医師も患者さんやご家族の思いをしっかり聞き、在宅医療に繋げることだと思います。将来医師として働く際には、患者さんがどこでどう過ごすのが幸せか、退院後の患者さんの生活がどのようなものかを考えられるよう、この実習での経験を活かした医療をしたいです。
短い間でしたが、小森先生をはじめ沢山の先生方、スタッフの皆様に大変お世話になりました。本当にありがとうございました。