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2013年7月21日

自分で道を切りひらくこと

留守番を非常勤の先生にお願いして
久々に岡山市内を脱出し、懐かしい松山へ行ってきました。
お世話になった外科の恩師である栗田先生が 四国がんセンターの病院長に就任され
祝賀の宴が催されることになったので、これは何としてでも行かなければ、と
JRで片道3時間、滞在 3時間という強行軍でしたが
道後温泉の空気を吸って(お湯に入る時間もなかった~)
元同僚や先輩後輩に会い、旧交を温めてきました。
栗田先生には数ヶ月間でしたが胃癌の手術を教えていただきながら
何人もの患者さんの手術を執刀させて頂きました。

栗田先生のお話の中で、35,6歳の頃に
専門を肺から胃に変えなければならなくなったとき
「与えられた環境の中で頑張って道を切り開いてゆけばよい」、と
当時の病理学の恩師から教えられ
その通りずっとやってきて今がある、という自身の経験談がありました。
そのあと、当時レジデントとして
肺グループにもローテーションで回ってきていたM先生が、スピーチの中で、逆に自分は消化器をやるつもりだったのに
何故か周りの事情で肺をやることになったことを話し、そう決まったとき栗田先生の教えを思い出して今も頑張っています、と言っていました。

思えば自分が在宅医療に転身しようと考えたときも
栗田先生に相談したところ、予想に反して
「本当にそう思うんだったら、いいじゃないか、頑張ってやってみろ」
と言って応援して下さったのも
御自身のそんな経験があったからでしょうか。
そう、どんな境遇でも 頑張って 自分で道を切り開いてゆけばよい・・・
集まったDr達はほぼ皆、第一線の外科医として活躍しています。
ひとりだけ どろっぽ元外科医としての参加でしたが
嬉しかったのは 全く別の方向性をもって進んでいる私に対し、会う先生方みんな、在宅医療という仕事の内容に興味を持ち、また心から応援してくれているのを感じられたことでした。

折しも今年で 外科専門医や指導医、呼吸器外科の専門医など
これまで何年もかけて苦労してとった資格が
手術の手を下ろしたがために更新できなくなって失効してしまうにあたり、自分のアイデンティティがひとつずつ消えていくような寂しさを感じていたのですが、高嶋元院長から「そんなのはもう要らんだろう・・・」と言われて
確かにその通り、・・・何か吹っ切れたような気がしました。
周囲の事情で決まったのでもなく、自分で考え、自分で選んで在宅医療の世界に飛び込んだわけですから
思い通りの環境で仕事できていることに感謝しないといけませんね。
久しぶりに会った広島大の先生と話していたら、自分が手術した癌患者さんが意に反して病気が再発したとき、患者さんのことが気になりながらも、病院のシステム上、化学療法科や緩和医療にその後を委ねなければならない・・・
どうしようもない・・・
そんな思いが聞かれます。その気持ち、とてもよくわかります。
というか、自分の場合、それが高じて
在宅医療の世界に転身するきっかけになったようなものです。
これからも、そんな外科医の気持ちがわかる在宅医であり続けたいと思います。
帰り際に土産にと栗田先生が配布されていた三越の包み、ケーキ?にしては軽いなぁと思いながら包みを開けたら、なんと バリィさんのちいさなぬいぐるみでした。
御愛嬌、思わず笑いました。
うちの末っ子の可愛がっている中サイズのぬいぐるみとセットになりました。

その昔、忘年会の芸で着て踊っていた
猿だかトナカイだかの着ぐるみを着て
元旦に病棟回診していたという
茶目っ気のある先生のアイデアに 「いいね」!