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2012年5月22日

非常に濃密な2日間

ももたろう往診クリニックでは、岡山大学医学部から実習生を受け入れています。
実習を終えた学生さんの感想をご紹介します。

岡山大学医学部6回生 【実習期間】 2012年5月 2日間

今回、2日間、往診に同行させていただきました。様々な背景と個性を持った患者さんのお宅を訪問する中で、生き方と死に方について色々と考えさせられた、非常に濃密な2日間でした。中でも強く印象に残っているのは、終末期の患者さんのことです。
初日の往診中に亡くなった方がおり、連絡を受けて急遽そちらへ向かいました。ご家族はもちろん悲しそうではありましたが、故人の希望通り家で看とることができて良かったとしきりにおっしゃっていました。家には故人の生活の跡があり、ご家族は眠っているかのようなご遺体の横で思いで話をされ、とても穏やかな時間が流れているように見えました。
 2日目の最後にはいよいよ最後の時が近づいている患者さんのお宅へお邪魔しました。ひと通りの診療と処置を終えた後、先生からご家族に対して、これから体がどのように変化していくかについての説明がありました。それを聞いていると、不思議と自分が出産した時のことが思い出されました。“妊娠して新しい人が生まれてくる”ことは知っていたのですが、実際に妊娠、出産してみるともうそれは未知のことだらけで、生命の神秘を感じ崇高な気持ちになったことを覚えています。先生の説明を聞くうちに“死”もやはり神秘的でかつ自然なことなのだと、何となく出産に近いものを感じたのでしょうか。“人間はみないつか死ぬ”ということが頭だけでなく感覚で理解できたような気がします。これは私にとって大きな発見でした。
 初日に亡くなった方のご家族も同様に亡くなる瞬間や亡くなった時の対応などについて事前によく説明されていたようでした。だからこそ亡くなった後のあの穏やかな時間が流れていたように思います。まだ生きているうちに死についての説明をすることはとても残酷なようですが、そうすることで逆に死に対する恐怖が薄れ、死が「闘うもの」、「避けられないもの」というよりは「自然なもの」であると思えるような気がしました。少なくとも私自身は今回の実習で死について教えてもらったことがとてもありがたかったし、できることならもっと早く知っておきたかったと思いました。というのも、2年前に義母を亡くしたのですが、その時に皆が死についてちゃんとした知識を持ち覚悟できていれば、もっといいお別れになったのでは・・・と思えて仕方なかったからです。そういった意味で今回出会った2人の患者さんとそのご家族がとても羨ましく、また、こういう看取りがあることをみんなもっと知っておいた方がいいのではと強く感じました。
 在宅医療の診療スタイルもまた印象深く、“白衣を着て病院内を忙しそうに歩き回り、病院を訪れるたくさんの患者さんを次々と捌いていく”のだけが医者ではないのだなと知ることができました。往診では患者さんのお宅にお邪魔するので、患者さんの普段の生活の中に自分が入っていくという感覚で、自然と患者さん側の視点にたてるような気がします。
また、家の中にいると、患者さんというよりはおじいちゃん、おばあちゃん(高齢の方が多かったので)といった感じで、親しみを覚えやすかったように思います。今回、先生を始め看護師さんも事務の方々も感動するほど温かい方達ばかりだったのですが、奇跡的にそういう方々がたまたま集まっただけでなく、この往診というスタイルがそうさせている部分も少しはあるのではないかと考えたりしながら実習させていただきました。いずれにせよ、大学病院では見られない医療、素晴らしい優しさに接することができ、とても勉強になりました。これから医者として働くことになりますが、今回の経験を自分なりに良く咀嚼して、患者さん達にいい医療を提供していけたらと思います。まずは国試に合格できるよう、勉強の方も頑張ります。
 今回は本当にありがとうございました。とてもいい実習だったと感謝しています。