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2010年7月15日

ごうのとら

先月から診療に行き始めた、心不全で調子悪くて血中ジギタリス濃度が高くなっていた95歳女性のところ(6月26日の日記記事あり)へ2週間ぶりに行ってきました。「毒がはいっとる」とか時々言うおばあちゃんです。
薬の調節の効果があったのか、ひどかった両足の浮腫もすっかり引いて、何より元気になってよく食べるようになったということで娘さんがすごく喜んでくれました。本人は相変わらず、走るのが得意だったから国体に出るはずだったけれどやめた、とか以前聞いたようなことを繰り返し話しておられましたが…(笑) 娘さんがいうのに、通院しなくなって困っていたところに診療に来てもらえるようになって、本当にありがたい。車で病院に行くと必ず嘔吐して、それから2,3日は御飯を食べなくなって吐いてばかりで、そんなふうにしんどいから行かなくなって、本人は頑固だしどんなに言っても病院に行かないので毎日喧嘩ばかりしていたんです…と。そうしたら95歳が、

「ほんに、生まれ歳をうさぎにしてもろうたけど、生まれは”ごうのとら”じゃからきつぅていかんです」

え??? どういうことでしょうか。娘さんの通訳によれば、95歳が言わんとしていたのは、本当は大正3年の寅年生まれだけれど”ごうのとら”は性格がきついと言われて昔の人は嫌がっていたので、親が出生届を出すのを1年遅らせてウサギ歳の生まれとして届け出た。だけど本当の生まれは”ごうのとら”だから、いくら戸籍上卯年になってもやっぱり性格がきついのは変わらない、(だから頑固で喧嘩ばかりしている…と、自分で自分の性格がきついと認めていた)と、どうやらそういう意味だったようです。 えー?? てことは、戸籍上は95歳だけど、生物学的には96歳だということか…そんな話もあるんですねぇ・・・と娘さんにいろいろ聞いていたら、

「親が役場に子供を連れて行ったら、戸籍係の人もだいたい察しがついたのか、『この子じゃないんかな。もうえらい大きゆうなっとるが』と咎められて、親は『いやいや、近所の子をちょっと預かっとるだけです』ゆうて適当なことを言ってそのまま手続きしてもろうたらしいです。昔はこの辺はまだ干拓地で、この近くの役所ゆうたら山を1つ2つ超えていかんとなかったから、なかなか届けにも行けれんで、1年ぐらいそのままじゃった話はなんぼでもあるらしいです」

どんな字を書くんだろうと思って少し調べたら、「五黄の寅:とりわけこの年生まれの女性は敬遠される。強(ごう)の寅、強い虎として嫌われる」という、迷信からきたひのえうまみたいなものだったんですね。丙午の出生数がガクンと減少している人口統計のグラフをみたことがありますが、実はあれも出生数が少ないんじゃなくて何割かは戸籍年齢と生物学的年齢に差があるような届出がされた結果ではないかと思えてきました。世の中、いろんな知らないことがあるなー

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COMMENT:  あにゃの   へーっっ(>_<)オモシロイですね〜。そんなカラクリが統計グラフに表れているなんて、やっぱり五黄の寅もひのえうまも古き時代からは敬遠されてるんですね(-.-;)今年がまさに五黄の寅です。ちなみに、うちの子はバッチリ五黄の寅の女の子です…(*_*) 同じ五黄の寅年産まれでも、妊娠発覚から出産までが五黄の寅なのが一番ヤバイとな…。迷信でしょうけど、産まれて手の付けられない子だったら、やっぱり五黄の寅の子だから〜となるのでしょうねf^_^;しかし、五黄の寅って60年に一度だと思っていましたが、96歳なら変則でやってくるのですかね〜??
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COMMENT: 雲南ナース  素敵な95歳?さんですね。訪問していて、なにが楽しみかって、こういう素敵な先輩方に出会えることですね。随分色々な事を教えていただきました。昔からの言い伝えや、秘伝のお料理まで…ついでに、嫁ぎ先の親戚関係やら昔話まで…それにしても往診は本当にありがたい。だいたい病院では簡単に来いって言うけど…寝たきりだったり、交通の便が悪いところだったり、全然考えてないんですよね。挙げ句の果てにどれだけ待たすかって感じで…ようやく診察にたどり着いたらものの数分で終了。みたいなことが少なからずあるらしい…ご先輩方には少し荷が重い行事のようですね。それにしてもよかったですね。95歳?さん。いい時間を過ごされること祈っています。ちなみに、私は羊ですが、ひのえ午の学年です。人数が少なかったです(^.^)b 確かに…