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2022年5月29日

生活背景をより強く認識する

ももたろう往診クリニックでは、岡山大学医学部から実習生を受け入れています。
実習を終えた学生さんの感想をご紹介します。

岡山大学医学部6回生 【実習期間】2022年5月 5日間

 私は今回、岡山大学病院緩和支持医療科の実習の一環として、ももたろう往診クリニックで5日間にわたり実習をさせていただきました。訪問診療や往診での診療は、今までの実習で経験した入院患者さんの診療や外来診療とは大きく異なっており、とても貴重な経験をさせていただくことができました。
 大学病院での診療と大きく異なっていると感じたのは、往診や訪問診療では患者さんやご家族の生活背景をより強く認識することができるということです。大学病院での診療では患者さんの日々の生活環境は想像で補うしかないため、意識することが難しかったのですが、訪問診療では患者さんの生活している空間にお伺いして診察を行うため、患者さんが生活するなかで困っていることや必要としていることを自分の眼で見て把握することができると実感しました。また、在宅療養されている患者さんのケアはご家族の方がされるため、患者さんだけでなくご家族の負担について考え、ご家族に寄り添うことも訪問診療では重要なことであると感じました。病院ではケアに慣れている医療従事者が日常のケアを行うため、その大変さについて深く考えたことはありませんでした。しかし、在宅療養されている方はケアに慣れていないご家族の方が日常のケアをしなければなりません。そして療養期間が長期化する場合もあり、デイサービス等を利用しても、精神的・肉体的なご家族の負担は相当大きなものとなるということを感じました。ご家族のお話を聞いたり、利用可能な社会福祉支援制度を紹介したりするなど、ご家族の負担をできる限り軽減するということも往診クリニックが担う重要な役割のひとつである、と強く感じました。
今回の実習で最も印象に残ったことは、亡くなられた患者さんのお宅に訪問した時のことです。患者さんが亡くなられた後、ご家族の方が「最期の時を自宅で、そして家族で一緒に過ごすことができてよかったです。病院だと最近は面会制限があって家族みんなで一緒に最期の時を迎えることは難しかったと思います。私たちがしてあげられることは全部してあげることができたと思います。」とおっしゃっていました。そして、患者さんとの思い出をケアマネージャーさんに笑顔で話されていました。最期を迎えるということはとてもつらく悲しいことですが、在宅でその瞬間を迎えることで、その悲しみを和らげ、達成感や満足感を感じることができたのではないかと思いました。最期の時を自宅で過ごしたいという患者さんの思いと、自分たちにできることはしてあげたいというご家族の思いを実現させるのは在宅医療だからこそできたことであると強く印象に残りました。
最後になりましたが、小森先生をはじめとするももたろう往診クリニックのスタッフの方々には大変お世話になりました。5日間という短い期間でしたが、大学病院での実習とは異なった経験を多くさせていただき、非常に有意義な実習となりました。5日間本当にありがとうございました。