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2024年2月17日

できること・すべきことの優先度が異なることを学んだ

ももたろう往診クリニックでは、岡山大学医学部から実習生を受け入れています。
実習を終えた学生さんの感想をご紹介します。

岡山大学医学部5回生 【実習期間】2024年2月 4日間

四いう短い期間ではありましたが大変お世話になりました。小森院長先生をはじめ、ももたろう往診クリニックのみなさまのおかげで充実した実習となりました。
在宅診療について実習前は詳しく知りませんでした。正直なところ、「訪問xx」という名称の医療サービス間の区別がついていませんでした。実際に触れてみることで、訪問診療がどのようなことをしているのか、多職種間でどのように連携しているのかを理解することができました。
今回、大学病院での実習とは全く異なる経験をすることができました。大学病院では外来に来られた患者さんや入院されている患者さんの診察をします。お話を聞いていてもなかなか患者さんが普段どのような生活をしているのかまでは見えません。「薬をちゃんと飲んでいる」「特に困っていることはない」と患者さんサイドがおっしゃったとしても本当のところはわかりません。診察室では患者さん側は遠慮してしまって本音を言えない、ということもしばしば耳にします。訪問診療では、お宅や施設に直接伺うことで生活環境や実際の服薬状況を確認し、必要なものを調整することができます。疾患そのものだけでなく患者さん全体を診ること・知ることがより深くできることが訪問診療の強みであると感じました。
大学病院の緩和チームで介入している患者さんの多くは「家に帰りたい」「少なくとも家族と過ごせるところに行きたい」と話されます。退院するとなると、痛みのコントロールができるかや住居環境・サポートしてくれる身内がいるかどうかが障壁となります。訪問診療の実習では、患者さんの退院したその先の様子を知ることができました。特に、末期がんや独居で身寄りのない方でも、社会資源・サービスを活用することで、家に帰って穏やかに過ごすことができることに感嘆しました。多職種連携や地域医療の重要性を教わって、少しですが現場も経験してきたつもりでしたが、多職種連携は病院の中のもの、地域医療は僻地や医師不足のエリアのものというイメージをいまだに持っていたことに気付かされました。
普段の実習では、我々学生は未熟さゆえに清潔・不潔について指摘されることが多々あります。処置の補助をさせていただく際も、清潔操作に少しでも疑わしい部分があれば不潔扱いにされます。それゆえ、訪問診療での処置の様子には少々驚きました。滅菌された生理食塩水ではなく、普通の家庭の水道水で傷を洗浄すること。導尿や麻酔の注射の際にドレープで清潔野を必ずしも作るわけではないこと。病棟では物品がすぐ手に入り、応援も呼べる状態ですが、在宅では資源が限られていたりコストの面だったりで、できること・すべきことの優先度が異なることを学ぶことができ、視野が広がりました。
最後になりますが、実習をあたたかく受け入れ、丁寧にご指導していただきありがとうございました。今回の経験を活かして、より広い視点を持った医師になれるよう今後も励んでいく所存です。