あるグループホームに入居中の患者さんの診療に行ったとき
入居者の書道の作品が壁に掛けられていました。
テーマは自由だったみたいで、好きに書いた作品だと思いますが
認知症の入居者の方が 「ぼけたらあかんで!」と書いているのを見て思わずフフッと笑いそうになりました。「長生きしなはれ」 もいいですね。
左下の「安産」というのは、お孫さんか誰かのことを案じてかなぁと思って職員さんに聞いたら、これを書いた入居者のかたは、もと産婦人科の先生だとか。これまでの長い産婦人科医としてのキャリアの中で、ひたすら患者さんの”安産”を祈って仕事してこられたことをこの1枚の書道作品から伺い知ることができるような気がします。プロフェッショナルとしての仕事に対する意気込みが、認知症になってなお表れてくるんですね。もしかして将来、自分達が認知症になってしまったとき、いったい何を祈って毛筆を手に、紙に向かっているでしょうか?
ももたろ